IPv4ネットワーク上の限定されたIPアドレスを使用して、より多くのエンドポイントコンピュータをインターネットに接続するために、NAT (ネットワークアドレス変換) デバイスが広く使用されています。NATデバイスは、NATデバイスに接続するコンピュータへのプライベート仮想ネットワークを形成することによりこれを可能にします。NATデバイスに接続された各コンピュータには、専用のプライベート仮想IPアドレスが1つ割り当てられます。NATデバイスは、このプライベートIPアドレスを実際のIPアドレスに変換してから、インターネットに要求を送信します。これにより問題が起こる場合があります。接続している各コンピュータは仮想IPアドレスを使用していますが、多くのネットワークアプリケーションがそのことを認識していないためです。通常、予期しないプログラムの誤動作やネットワークの接続の問題を引き起こします。
TMIを使用したエージェントと連携する製品には、1つの前提条件があります。サーバは、サーバからエージェントへの接続を開始することでエージェントに到達できるという事実に依存しています。どちら側からでも相互にネットワーク接続を開始できるので、これは双方向通信製品と呼ばれます。この前提条件は、エージェントがNATデバイスの背後にあるときや、Control ManagerサーバがNATデバイスの背後にあるときには当てはまりません。この接続はNATデバイスにのみルーティング可能で、NATデバイスの背後にある製品や、NATデバイスの背後にあるControl Managerサーバにはルーティングできないためです。この問題の一般的な解決策の1つとして、NATデバイス上に特定のマップ関係を構築し、受信要求を関連エージェントに自動ルーティングする方法があります。ただし、この解決方法ではユーザの関与が必要となり、大規模な製品配置が必要な場合はうまく機能しません。
MCPでは、一方向の通信モデルを採用することでこの問題に対応します。一方向通信では、エージェントのみがサーバへのネットワーク接続を開始できます。サーバは、エージェントへの接続を開始できません。一方向通信はログのデータ転送に適しています。一方、サーバからのコマンド発行は、受動モードでの実行となります。つまり、コマンド配信は、エージェント側からサーバに対して使用可能なコマンドのポーリングが行われて初めて実現します。